オリーブの耐寒性、冷害、寒害、雪害、霜害
オリーブの低温状況下での被害について
温暖なイメージとは裏腹に、ある程度の耐寒性をもつオリーブですが、「ある程度」とはどの程度なのでしょうか、資料で調べてみました。
■日本 書籍 農文協「果樹園芸大百科15 常緑特産果樹」 2000年 より
・アメリカで観察された資料によると、樹体はマイナス9.4℃までは耐えられるが、マイナス12.2℃以下になると危険で、マイナス14.4℃になると新梢や若枝が枯死する。
・小豆島では1981年にマイナス8.2℃を記録したが、幼木、成木とも寒害はまったく受けなかった。
■スペイン 論文 Frost Tolerance of Eight Olive Cultivars 2005年 より
・8品種で耐寒限界温度を測定した結果、最弱はエンペルトレで-9.5℃、最強はコルニカブラで-13.3℃であった。
■イタリア 論文 Frost tolerance of 24 olive cultivars and subsequent vegetative re-sprouting as indication of recovery ability 2016年 より
・-7℃から被害がはじまり、12度を超えると葉に深刻なダメージを受ける。
■アメリカ 資料 OIL OLIVE VARIETIES OIL OLIVE VARIETIES by Paul Vossen 年不明
品種別耐寒性
耐寒性 | 品種 |
強い | アルベキーナ、アスコラーナ、コラティーナ、ホジブランコ、レッチーノ、マウリーノ、ミッション、ペンドリーノ、ピクード、ピクアル、セビラノ |
中間 | カラモン、ピチョリーノ |
弱い | エンペルトレ、フラントイオ※1、コロネイキ、マンザニロ、モライオーロ、タジャスカ |
※1フラントイオについては「強い」という説もある。近縁種と思われる日本のルッカも「強い」と言われる。
こんな感じでした。まとめると、マイナス7℃で警戒ライン、マイナス12℃で危険ライン、と考えるくらいが良さそうです。被害としては、葉や新梢が黄から茶への変色してから枯死、幹が裂けるなどです。対策の情報は見あたらず、寒冷地では強い品種を選ぶように、とのことです。確かに上にあげた論文でも、品種によってマイナス4度の限界温度差があります。また、暖かい天候から急に冷え込むとダメージが大きい、という情報もありました。これはうちの畑を見ていても納得です。また限界温度に達しても1~2時間だと大丈夫らしいですが、一晩中だとダメージが大きいようです。
参考:冬のオリーブ